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    溶け合う心が、明日を、壊す。

    襖の向こうから聞こえる父と母の怒鳴り声に身を寄せる小さな兄妹。
    「怖い・・怖いよ、海斗くん・・・」
    「海帆ちゃん・・泣かないで。大丈夫、すぐ終わるよ」
    (幼い頃の僕らは)
    (よく押入れの中で怯えていた)
    「・・・本当?」
    「うん、そうだよ。手つないであげる」
    「ねえ、お兄ちゃん・・・アレして・・・」
    「うん・・・」
    (取り合った手と小さな温もりが)
    (僕らのすべてだった)
    暗闇の中で子供たちは唇を重ねた。

    (そして)
    (「こんなこと」をしてはいけないと、わかっている歳になっても)
    成長した兄妹が両親の怒号を聞きながら、寝室の暗闇の中で今日も口づけをした。
    (僕らが未だにこの「温もり」を求めているのは)
    兄と妹の舌が絡み合う。
    (多分)

    (この町の冬があまりにも長いせいだ)

    まきおの『冬の端っこ』(雑誌『COMIC高 Vol.6』、電子書籍)に登場する兄妹は、冷え切った「家庭」の中でお互いの温もりを感じながら暮らしていました。
    冬の端っこ
    唯一残っている「家族写真」を見つめながら妹が呟く。
    「あの頃はね、海斗君と私が一つだと思ってたの。だって顔も同じで背も同じで、まるで鏡を見ているみたいだったから」

    兄妹である彼らは二卵性双生児なわけですが、少女にとって兄は「もう一人の自分」と思えるほど近しい存在であり、普通の兄妹以上の強い「絆」を感じていました。
    学校の授業で一卵性双生児は(ほぼ)同性のみであることを知って落ち込んだこともある彼女にとって、兄とのキスは「特別な繋がり」を実感するための行為だったんですね。

    (馬鹿な話なんかじゃない)
    (実は僕もそう思っていたんだ)
    (だって僕らは)
    (この世界でたった一つの絆だから)
    (――と答えたら)
    (心配性の君はきっと泣いてしまうだろうから)
    (僕は何も言わなかったけど)

    (僕らはずっと一緒だから大丈夫)

    そんな兄妹の「日常」はあっさりと崩れていきます。

    (ある日)
    (学校から帰ってくると)
    (両親がいつになく穏やかな顔で僕らを迎えて)

    これまで何度も母が口にしていた「離婚」がついに現実のものとなったんですね。
    子供はお互いが一人ずつ引き受けることになったと一方的に告げる両親。
    兄は「それは僕達のことでしょ? どうして母さんと父さんが勝手に決めるの?」と抗議しますが、まともに取り合ってもらえません。

    「海斗は父さんと、海帆は母さんといる方がいいと思うわ」

    「とにかく、今更こんな話で揉めたくない。もう決まったことだから、お前達もそのつもりでいなさい」

    あまりにも自分勝手な話ですけど、現実にも両親の離婚によって振り回される子供たちというのはたくさんいるんでしょうね。
    海斗と海帆は優しい子なので、それ以上反抗もできずに「別れ」が確定してしまいます。

    (とても静かで)
    (雪の積もる音まで聞こえるような夜が過ぎた)
    「転校の手続きはこちらでやるから、海帆には友達に挨拶するように伝えてね」
    そう告げて母が家を出る。
    「・・・はい、わかりました」
    兄が居間に戻ると妹の朝食はほとんど残っていた。
    「・・ごめん、なんか・・・食べられなくて・・・」
    「・・・いいよ」
    彼は海帆の頭を優しく撫でた。
    「代わりにお昼はちゃんと食べるんだよ。今日のお弁当、海帆の大好物いっぱい入れたから」
    「・・・・・」
    玄関で妹の首にマフラーをかける。
    「さあ、行こう、海帆」
    「・・私、行けない・・・」
    「体調悪いなら家で休もうか? 友達に挨拶は・・・」
    「行きたくない」
    涙に濡れた瞳で兄を見つめる少女。
    「東京なんて行きたくないよ」
    海斗の首元に手をまわして抱きつく海帆。
    「ずっと海斗君と一緒にいたい・・・」
    「でも海帆・・・」
    「私が海斗君と離れていられるわけがないじゃない。そんなことありえないよ。できるわけないよ」
    少女が兄の肩に埋めていた顔を上げた。
    「だって、だって・・・私達は・・・」
    (生まれた時からずっと一緒だったから)
    (僕らは「一つ」だった)
    (これからもずっと一緒だから、僕らは「一つ」に違いないと思っていた)
    (例えそれが事実と違くとも)
    「・・・・海帆・・・」
    (ああ)
    (ちぐはぐで異常な絆でも僕らにはこれしかなくて)
    「ねえ、お兄ちゃん、一つになろう。誰にも離れさせられないように」
    (無数のためらいの中で)
    (やっと)
    「抱きしめて・・・」

    キス以上の「繋がり」を求めて「近親相姦」をする兄妹。
    お互いの「想い」を交わらせた彼らは、ひとつの布団の中で横たわって見つめ合います。

    「海帆、僕達逃げようか。父さんも母さんもいないところへ。そして、ずっとずっと一緒にいよう」
    「うん」
    しかし、二人は「明日」の冷たい現実を知っていた。
    「・・・早く大人になりたい」
    兄の言葉を聞きながら海帆の瞳に浮かぶ涙。
    「早く大人になって自分のことは自分で決めたい」
    「・・・うん、そうだね」
    幼い頃のように兄妹は身を寄せ合った。

    (妹は明日、この町を発つ)

    「恋愛感情」の要素もあるのでしょうけど、「自己愛」にも似た強い「家族愛」によって結ばれた、双子ならではの「近親愛」ですね。
    「大人」になった彼らが「異性」という「違う存在」としてお互いを求めた時、その「近親愛」は本物になるのかも知れません。
    切ない話であり、セックスシーンも決して激しくはありませんが、丁寧に心情が描かれた良質の「兄妹相姦漫画」だと思います。


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