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    近すぎて・・遠い・・二人

    前回紹介した『溺れる夜の』で気になるのは、やっぱり伯父さん(兄)と母親(妹)の「過去」ですよね。
    『暑い夜』では甥と姪の「兄妹相姦」を見て(気持ち悪い)と感じながら(俺だって似たようなものだったろうに)とも思い、その後の『溺れる夜の』では決別宣言のような電話をしてきた伯父。
    そんな彼はかつて妹にどんな想いを抱き、どんな関係だったのか?
    今後続編があれば「真相」が明らかになる可能性もありますけど、現状では読者の想像にお任せ状態ですね。
    関谷あさみが過去に描いた『壁の向こう側』(単行本『おとなになるまえに』に収録)は、そうした「想像」のヒントになるかも知れません。
    壁の向こう側
    薄い壁を通して隣の部屋からCDの音楽が聴こえてくる。
    (いつからとか、どうしてとか、俺は知らない)
    (俺は)
    母親から「お兄ちゃんの勉強の邪魔でしょう!」と怒られて謝りに来た妹の美花。
    「お兄ちゃんごめんね・・・・音、うるさかった?」
    (俺は美花が好きだ)

    すでに実妹に対して「近親愛」を抱いている青年。
    彼はその想いを胸に秘め続けています。

    (でも絶対に言わない。拒まれるのが怖いから)
    (今のままで一生我慢する。それでいい)
    (でも、もし)
    (都合のいい夢だけど、もし)
    (美花が、俺と同じ気持ちとか・・ありえるなら)
    (親も友達も将来も)
    (俺が持っているもの、手に入れるもの全て)
    (捨ててしまってかまわない)

    (本気で好きなんだ)

    そんな苦悩の中でも「日常」で妹に甘えられることに幸せを感じていた彼ですけど、母親から「中2にもなるんだから少しはお兄ちゃん離れしないと恥ずかしいわよ」と言われた美花は神妙な表情で「・・・・・それ友達にも言われた・・・」と呟くのでした。
    そんな話を聞いていて少しブルーになっていた兄がバイトのシフト変更で予定外の時間に家にいた時、妹が男友達を連れて帰って来てしまうのです。
    関谷あさみと言えば多くの「近親相姦漫画」を描いていますが、その一方で「ネトラレ漫画」を得意とする作家でもあるんですよねぇ。

    兄が隣の部屋にいることに気づかず、彼氏とキスをして処女を奪われてしまう少女。
    知らない男に犯されている妹の声を壁越しに聞きながら自分の拳を噛み締める青年。
    (ちょうどよかった・・じゃん・・これで)
    (バカみたいに夢見て期待することもない)
    『痛・・ぁ~~っっ、あ、あ、だめえぇ・・あぁっ、ひっ、ひあっ、んっ、あっ、はあっ、はっ、やあっ・・あ、はっ、あ、あっ、やっ、ん、あんっ、ふぁっ、あっ』
    「・・・・・」
    (なんでだ、血も細胞も距離も俺の方が近いのに)
    (なんで俺だけダメなんだ)
    妹の喘ぎ声を聞きながら兄は勃起していた。

    結局、彼は「禁断の欲望」を抱きながらも何も出来ず、壁の向こうにいる妹は初体験で膣内射精までされてしまうのでした。

    『だ・・だめっ、うそ・・っ、なかはだめぇ、いやっ、いやっ、いやあ・・・・っっ』
    『ごめん・・・・ごめんっ』
    『・・・・・もう・・いい・・・仕方ない、よね・・・』
    『本当にごめん・・・』
    隣の部屋のセックスが終わると、兄は指が血に染まった拳を口から離した。
    (仕方ない)
    (それでも 俺は)
    (きっと ずっと この先も―――・・・)

    そして時は流れ、兄もまた別の女性と交際して結婚式を迎えます。

    「お兄ちゃん」
    白いタキシードを着た彼に妹が微笑む。
    「お嫁さんは?」
    「今準備でバタバタしてるみたい」
    「・・・・・・」
    一瞬目を伏せてから兄を見上げる美花。
    「・・・なんか寂しいな。今までうちのお兄ちゃん、だったのに・・・今日から旦那さんになっていつかお父さんになっちゃうんだよね・・・もう甘えられないなー」
    妹は少しぎこちない笑顔を作る。
    「中学の頃さ、私ムリして彼氏作ってお兄ちゃん離れしてみたりしたけど、もっと甘えてればよかった。本当はねぇ・・お兄ちゃんのこと大好きだったのっ・・だから、やっぱり悲しいな――・・」
    目に涙を浮かべ俯きながらそう告げた妹を見つめながら、彼は過去に抱いた想いを思い出す。

    (「俺が持っているもの、手に入れるもの全て捨ててしまってもかまわない」)

    (そうだ)
    (今でも変わらない)

    彼は手を伸ばし、妹の頭を優しく撫でた。
    「俺も大好きだよ・・俺は、お前だけのお兄ちゃんだから。好きなだけ甘えてメーワクかけてくれよ、これからも」
    「・・・うん。結婚おめでとうお兄ちゃん」

    その表情を見る限り、妹の「好き」は単なる「家族愛」ではなく「近親愛」も含んでいたと思われます。
    それでも彼は「禁忌の壁」を壊さなかった。
    そう選択したわけです。
    物語の冒頭で兄と妹を隔てていた部屋の間の壁ですが、ラストのイメージシーンでは兄妹が壁に背中を預けていてお互いの温もりを感じているように思えます。
    彼にとって「禁忌の壁」は「家族の絆」でもあったんですね。


    このお兄ちゃんが『暑い夜』に登場する伯父というわけではありません。
    妹の名前が「美花」ではなく、「智花」ですからね。(似てるけど・・・)
    ただ、『溺れる夜の』の続編が描かれずに読者が悶々とした場合は、この物語の内容を伯父の「過去」と考えてもいいような気もします。
    『暑い夜』の伯父さんは独身のようですが、もしも『壁の向こう側』のような心境で結婚していたら、その後何だかんだで離婚してもおかしくないと思いますし。
    ちなみに吉田基已の『恋風』のお兄ちゃんは妹と結ばれることを諦めながらも母親に「一生結婚しない宣言」をしていますね。
    この世に「妹」の代わりなど存在しないから。
    『暑い夜』の伯父さんも同じような感じじゃないかなあと思っています。

    こんな妄想を広げながら、続編での「真実」をじっと待っている今日この頃です。

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    4件のコメント

    [C458] 近くて・・・遠い・・・・天皇一族

    大橋さん おひさしぶりです。

    近親ネタで なんか ないかな~と 思って探してましたら、 兄弟姉妹婚のwikipediaをみつけました

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%84%E5%BC%9F%E5%A7%89%E5%A6%B9%E5%A9%9A

    日本でも ほんの少し リンク先を調べてたら古墳 飛鳥時代に 天智天皇の娘(後の持統天皇)を妻にした 天武天皇は 天智天皇の同母弟・・・・ 叔父姪のあいだがらになってますね~

     でも 昔の古代日本の天皇一族って こういうのが当たり前だったんですね。

     古代日本の近くて遠い関係・・・複雑ですね。

    [C459]

    zebraさん、お久しぶりです。
    国内外の歴史を紐解くと結構近親相姦ネタがありますよね。
    ちなみに天皇家のご先祖様であるイザナギは妹のイザナミとの「兄妹相姦」によって日本列島を産みだしたと言われています。
    • 2014-05-01
    • 大橋零人
    • URL
    • 編集

    [C516]

    なんか納得できない…
    妹が大好きなのに、彼氏を家に連れて来たとき、黙って何もしないなんて…

    [C517]

    Mapleさん、コメントありがとうございます!

    妹大好きお兄ちゃんでも現実世界なら「何もしない」のが普通でしょうけど、エロ漫画の世界なら読者の期待を裏切る反則行為ですよねえ。
    でも、妹のことが大事だからこそ踏み出せない兄の切ない心情が伝わってくる「近親愛漫画」だとは思います。
    • 2015-03-30
    • 大橋零人
    • URL
    • 編集

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