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    禁断のアイデンティティー(後編)

    「わたしの身体をあげる」
    微笑みながら姉が彼に告げた。
    「でもそれだと ねぇさまが」
    「心臓だけになってもピアノを弾いた人もいるわ」

    「だったら 身体ごとなら」

    「さぞかしじゃあなくて?」

    アヤメの「願い」を受け入れて、レンゲは姉の身体を手に入れた。

    (僕は父様が嫌いだった)
    (僕から ねぇさまを盗ったから)

    うそ とうさまのこと大好きだったくせに
    誓ったじゃない
    二人でおよめさんになるって

    (でも・・僕にはムリ・・・)
    もう存在しないはずの姉の声に彼は答える。

    もう
    ムリじゃないわ

    あなたは
    わたしになったのだから

    佐々原憂樹の『きみになりたい』は、この「後編」で完結となります。
    きみになりたい(後編)
    アヤメの姿をしたレンゲが「脳移植」に関する資料を読んでいる。

    発生段階で「ウズラの胚の脳になる部位」を移植されたニワトリの胚は「ウズラの泣き声」を発するウズラの脳を持つヒヨコとして成長するが、やがて身体の拒絶反応によってウズラの脳は非自己とみなされ壊死する。

    「今は薬で抑えられるから大丈夫だよ」
    白衣を着た父が彼に声をかけた。
    「とうさま・・」
    身体に触れようとした父の手を避けるようにレンゲが顔を背ける。
    「そ、そんなことわかってるよ、とうさま」
    「・・・・・・すまない」

    「姉になりたい」と思っていた彼ですが、アヤメのように父親を愛する事が出来ません。
    姿は変わっても、彼は「アヤメ」ではなく、「レンゲ」だから。
    しかし、その肉体は父を求めていました。

    (どうして)
    (どうしてこんなに胸がどきどきするんだろう?)
    (とうさまのことキライなのに)
    自分の感情に戸惑うレンゲ。
    「ねぇさまの カラダだから?」
    彼が自問するように呟く。
    (大キライなのに・・・)

    「カスミ カスミ ここを開けておくれよ」
    夜になると、父親が狂ったように彼の部屋のドアを叩く。
    「僕は ああ僕は 君がいないと 君がいないと駄目なんだ」

    (誰があんたなんかと)
    (ねぇさまは僕の)
    (僕だけのもの)
    (とうさまなんかに もう二度と触らせたりしないんだから!)
    レンゲは美しい姉の裸身を鏡に映しながら自慰をしていた。

    父が求めているのは「レンゲ」ではありません。
    そして、彼が愛し憧れている「アヤメ」でもない。
    本当に求められているのは、父の「妻」である「カスミ」です。
    それでもアヤメは「身代わり」として父に抱かれる事に喜びを感じていました。
    しかし、レンゲは「身代わりの身代わり」となる事を受け入れられなかったのです。

    (歩く為のリハビリより先にねぇさまのカラダを弄った)
    姉の姿をした彼が大股を開いた淫らな格好でオナニーの快感を貪る。
    (でも・・・)
    (いつも必ず最後までイけなかった・・・)
    「・・・・・」
    レンゲは涙を流していた。
    「・・・どうして?」
    「カスミ・・カスミ 顔をみせておくれ」
    部屋の外から聞こえる父の情けない声が彼の神経を逆撫でする。
    「うるさい!」
    レンゲがドアの方へとマクラを投げつけた。
    「ご、ごめんなカスミ あやまるから」
    「うるさいっ」
    「あやまるから どうか どうか 嫌わないでおくれよ」
    「うるさいっ」
    「き、君に嫌われたら 僕は・・僕は・・・」
    「うるさいっ もう止めて しゃべんないでっ!」
    ズグンッ
    「あぐっ」
    (とうさまを拒むと酷い頭痛に襲われる)
    (くすりは・・段々効かなくなってきてる気がする)
    それでも彼は薬を飲むしかなかった。
    (そうして僕は痛みに身をよじり とうさまの声に耳を塞ぎながら)
    (意識を失うまで我慢する)
    (夢の中で ねぇさまに会うために)

    とうさまをよろしく

    夢の中でアヤメがレンゲに再び告げた。

    とうさまでないと助けられない人達がいるの

    (・・・・嫌だ)
    彼は姉の「願い」を拒絶する。
    (いやだよ! ねぇさまは僕だけのものだ!)

    泣き叫ぶレンゲを見つめながらアヤメが静かに笑う。

    ちがうわよ

    私は 私たちは とうさまのものよ

    レンゲは父親に抱かれるようになっていた。
    (とうさまの指でいとも容易く果ててしまう)
    (あんなに駄目だったのに)
    (何度も)
    (何度も)
    (自分でスルのは あんなに駄目だったのに)
    父の愛撫によってレンゲが淫らな喘ぎ声を上げ続ける。
    (「ねえさまのカラダだから」)
    (きっとそう カラダが覚えているせい)

    ちがうわよ

    父に犯されながらレンゲはアヤメの声を聞いた。

    私が覚えているのもあるけど・・・
    それだけじゃあないでしょう?

    (・・・そう)
    (本当は僕はとうさまに愛されたかった)
    (ねぇさまが好きで うらやましくて、とうさまが好きで うらめしくて)

    (僕は ねぇさまになりたかった)

    父と姉に対して複雑な感情を抱いてきたレンゲ。
    自分が「少女」でない事を知った時から、彼の「愛情」は方向性を見失ってしまったのかも知れません。

    (本当は とっくに気づいていた)
    (とうさまに抱かれていると あの不快な頭痛がしなくなることに)
    (そして抱かれているあいだは本当にねぇさまになれた気がすることに)
    レンゲは「禁断の快感」によがり狂う。
    (本当のねぇさま)
    (そうだ)
    (ほんとうの君になるために)
    (このカラダの隅々に散らばっている君を)
    (あつめて)
    (束ねて)
    (僕を君で塗りつぶす)

    「姉になりたい」という「願い」。
    それだけはずっと変わらない「真実」だった。

    (君の仕草)
    (考え方 泣き方 笑い方 怒り方)
    (そして とうさまの愛し方で)

    (僕を塗りつぶす)


    半年後。
    「すまない レンゲ、アヤメを ねえさんを助けられなくて」
    墓前で謝罪する父。
    「いいえ とうさま」
    かつてのように美しい黒髪が伸びた彼女が答えた。
    「このお花は、かあさまと レンゲの為に」

    (ああ)

    (ほら)


    (君になれた)


    設定がかなり現実離れしているだけでなく、レンゲの身体やアヤメの病気についての説明もほとんどされていませんが、あまり細かい所に拘らずに一種のファンタジーとして読むべきかなと思いました。

    個人的には楽しめましたけど、特殊なストーリーなので好みが分かれるかも知れませんね。

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