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    禁断のアイデンティティー(中編)

    前回紹介した 佐々原憂樹の『きみになりたい』は全3話であり、今回はその「中編」について述べたいと思います。
    きみになりたい(中編)

    (これはきっと夢に違いない)
    (そう思った)
    レンゲはヴァギナの上に生えたペニスを姉に愛撫され、その口の中へ激しく射精した。

    「同性」として姉に憧れながらも「異性」として彼女を求めていたであろう彼にとって、この出来事は淫らな夢のようなものだったでしょう。
    しかも、そのまま彼らは「近親相姦」までしてしまうのです。
    でも、彼にとっては、その時に告げられた姉の言葉の方がずっと重い意味を持っていました。

    れんげ わたしね
    もうすぐ
    死ぬの
    どんどん どんどん とうさまのことも
    れんげのことも みんな忘れていって
    なあんにも わからなくなって
    死ぬの
    だかられんげ 私のこと
    わすれないで

    「射精しなさい れんげ!! 私の膣へ」
    淫らな笑みを浮かべながら彼の射精を膣内に受けた少女。
    「ねぇさま?」
    レンゲは姉が肩を震わせているのに気づく。
    「れんげ わたしまだ」
    彼女はボロボロと大粒の涙を流していた。
    「 私 まだ、 まだ死にたくないよぅ・・・」
    愛する父親にも見せなかった「悲しみ」をレンゲにだけ曝け出すアヤメ。
    そんな彼女を抱き締めながら彼は心の中で告げる。
    (大丈夫 僕もいっしょに・・・)

    朝。
    目覚めたレンゲは同じベッドに横たわる姉の笑顔を見た。
    「おはよう れんげ」
    「・・・・ねぇさま 僕もいっしょに死」
    「レンゲ!」
    アヤメは笑みを浮かべたまま彼の唇を人差し指で塞いだ。
    「わたしね とてもいいことを思いついたの!」
    跳ねるようにベッドから立ち上がる姉。
    「きっと出来るわ! とうさまは とっても偉いお医者様だから」

    姉が思いついた「とてもいいこと」とは、自分の身体に彼の脳を移植するという事。
    どうやらアヤメが病んでいるのは脳だけらしいので、車椅子生活をしていて両性具有にコンプレックスを感じているレンゲと「悪い部分」を捨てて「良い部分」だけを融合させようという考え方ですね。
    五体満足ではないにせよ今のところ「死」とは無縁なレンゲにとってはデメリットが大きい提案ですが、姉と一緒に死ぬ事も覚悟していた彼はこれを受け入れます。
    彼らの父親は「とっても偉いお医者様」らしいので、こんなブラックジャック的な手術も可能なのです。

    だから レンゲ あなたは わたしになるの
    とうさまを よろしくね

    姉の「想い」と「身体」をレンゲは受け取った。

    2ヶ月後。
    (目を覚ますと)
    ベッドから身体を起こした彼は、鏡に映った己の姿を見た。
    (きみがいた)
    美しい黒髪が短く切られた姉。
    その姉は悲しみの涙を浮かべていた。

    (いや)

    (ここにはもう)

    (きみはいない)

    アヤメの姿をしたレンゲは嘆きの叫びを上げた。


    「姉になりたい」と思っていた彼は、彼女の身体を手に入れました。
    しかし、それはレンゲが憧れていた「姉」ではなかったのです。

    アヤメとレンゲの「願い」の結末は次回。

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    2件のコメント

    [C93]

    大橋さんこんばんは。
    「きみになりたい」
    ここまでシンミリ系なうえ、ちょっと今までの中でも結構ハードな展開ですが、
    作者がどういうラストを描いたのかとても気になります。次回楽しみにしてます。
    それから、Natori氏の他水希ヒカル氏もご存知というか持っておられたんですね。
    大橋さんの言われるとおり、気にいった作家さんは単行本で購入出来ると思ってましたので、
    まさか1編くらいの発表で、単行本にならないとは夢にも思ってませんでした。
    小説(エロではなく)の世界に比べて、新人がデビューしやすいというか、裾野が広い分だけ生き残りも難しいのでしょうかね。
    他にもさまざまな理由はあると思いますが。
    水希ヒカル氏のは、今にして思えばなぜあの時雑誌を買ったのかなどあまり覚えてないんですが、個人的に1番引かれたというか、今でも記憶に残ってるんですよね。(うろ覚えですが)
    保存方法は、大橋さんの真似をさせてもらいます。w
    といってもそんなに沢山の雑誌は読めないので、こちらのレビューを最大限参考にさせていただき、自分の琴線に触れるものを雑誌と単行本でボチボチ集めていけたらと思います。
    なにしろ軍資金が乏しいので、こうも不景気だと自由が利かなくて。w
    それにNatori氏や水希ヒカル氏のような、既出の場合が手に入りにくいうえに高値になってることが多いので少々困るんですよね。
    しかし、読みたいのに読めないというのは悔しいものですね。
    今までこんな風に思ったことはなかったんですが。
    • 2008-12-15
    • 一究
    • URL
    • 編集

    [C94] こんばんは

    『きみになりたい』の「後編」のレビューを書きました。
    かなり特殊なストーリーだと思いますけど、こういう「作品」も好きです。
    • 2008-12-17
    • 大橋零人
    • URL
    • 編集

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