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    混ぜるな、禁忌!

    このブログで使っている「近親愛」という言葉は、「家族愛」とは似て非なるものです。
    簡単に言えば、「近親愛」とは「家族愛」と「恋愛」が同時に発生している状態であり、世間では「禁忌」として否定されている感情です。

    前回紹介した白石なぎさの『母の恋人』において息子が「家族」への「恋愛感情」について考えていましたが、本来「家族愛」と「恋愛」は全く異なるベクトルの「愛情」ですね。

    根深い「絆」を持つ「家族愛」の「持続性」と、一瞬にして「狂気」にまで高まる事もある「恋愛」の「爆発力」。
    これらの長所を兼ね備えた「近親愛」は最強のはずですが、「家族愛」と「恋愛」は互いを否定する関係にあり、単純な足し算とはなりません。
    基本的に「家族愛」が「性別」を超越したものであるのに対して、「恋愛感情」は「性別」を前提として発生します。(「同性愛」という特殊例もありますが)
    そのため、「近親愛」は大きな矛盾を抱えており、きりりんの『私が××だったころ』に登場する兄妹は「恋愛感情」によって「夫婦」となり、 「兄妹」としての「家族愛」を捨てるのです。


    尾崎未来の『BREAK THESE CHAIN』では、お互いを「異性」として意識してしまった兄妹が「禁断の関係」になります。
    BREAK THESE CHAIN

    妹の純潔を奪った兄。
    (次の日・・・)
    (俺は海へ行こうと誘った・・・)
    (奈加は自分の想いが通じた事で・・妙に はしゃいでいた・・・)
    彼は水着姿の妹を見つめる。
    (でも・・)
    (俺たちの この想いは・・)
    (いつまで続くのだろう・・・)

    「奈加」
    兄が妹に近づく。
    「何? お兄ちゃん・・・」
    笑顔で振り向こうとした妹を彼は後ろから抱き締めた。
    「俺たち・・今は好き同士だけど、いつか・・この気持ち・・消えてしまうかもしれない・・・だから・・その覚悟だけはしておかなきゃな・・・」

    (これは あくまでも“一つの恋”・・・)

    「奈加・・本気だもん・・・」
    涙を浮かべながら妹が告げる。
    「この気持ちは消えないもん!」
    「俺だって本気だよ・・・」
    彼は愛する少女とキスをした。
    「消したくないよ・・・」

    妹と手を繋ぎ、「恋人」として海辺を歩く兄。
    しかし、彼は思っていた。

    (恋に“永遠”はないんだ・・・)


    この兄も『母の恋人』に登場する息子も分かっています。
    一度「恋人」になってしまった「家族」は、その「恋」が終わっても元の関係には戻れないという事を。
    すでに「家族愛」は「恋愛感情」によって変質してしまっているのです。


    吉田基己の『恋風』で、兄と「禁断の恋愛」をしている妹が兄の同僚である女性に忠告されます。

    「今だけよ。頭に血がのぼって周りが見えなくなっているだけ。今は目の前のお兄ちゃんのことしか考えられないだろうけど、そういうの長続きすると思わない。だって辛いでしょ? 冷めたとき最悪だよ、兄キだもん」

    そんな「正論」に対して答える少女。

    「きっと、生涯想いつづける、そう信じられる恋だってあります」


    決して「他人」には理解されない、「常識」においては否定される「禁断の想い」。
    「家族愛」と「恋愛」という矛盾する「愛情」を内包した、非常に不安定な感情。
    それでも「近親愛」を追い求める者がいるのです。

    他に代わりとなる「愛」など、この世には存在しないのだから。

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