北河トウタの『ふたりは、』は、姉に恋する弟の「物語」です。

(――憶えているのは、死に急ぐ虫の声と、やわらかい感触)
夏のある日。
幼かった彼がセーラー服を着た少女と初めてのキスをした。
(そして)
少女が彼のもとから去っていく。
「修くん」
振り返った彼女が最後の笑みを見せる。
「バイバイ」
(大好きなヒトを失った)
(胸の痛み・・――――)
思い出の少女は、彼の「姉」であった。
両親の離婚によって姉と別れて暮らすようになった少年。
それから数年の時が経っていた。
(その痛みが癒えぬ間に)
(両親の再婚によって)
(また暮らす事になった・・・)
(このヒトと)
今、彼の隣であの頃より成長した「姉」が微笑んでいる。
かつて、別れ際に弟と口づけをした姉。
弟にとっては強烈な記憶です。
そして、再び共に暮らすようになった姉に「異性」を感じてしまいます。
(自分の姉に欲情するなんてマトモじゃない・・・)
そう思いながらも風呂場の姉を覗き見てしまう弟。
実姉に対して「性欲」を感じてしまう弟ですが、それ以上の行為をする事は出来なかったかも知れません。
一度別離の悲しみを経験しているので、「姉」を失うようなリスクは犯さないと思います。
しかし、相手を「異性」として意識していたのは姉も同様だったのです。
浴室の磨りガラスにぴったりと押し付けられた姉の肉体。
ガラス越しに弟が姉の乳首を擬似愛撫する。
(一枚むこうに姉ちゃんのおっぱい・・姉ちゃんのおっぱい・・っ)
(姉ちゃんのお○んこ・・っ、いっ・・挿れたいっ)
彼はガラスの向こうに見える姉の股間に欲情しながら勃起した肉棒を擦りつけていた。
(触りたいっ、おっぱい吸いたいっ、挿れ・・たい! 舐めたい! 全部っ、全部挿れたいっ・・!!)
「っ・・あ! 姉ちゃ・・んっ・・・っ!」
彼は姉の裸身に向って射精した。
お互いの「禁断の欲望」を確認してしまった姉弟。
(理性に留め金があるとすれば)
(ゆるんでしまった)
母に隠れて姉が弟のペニスを咥えている。
(ゆるみをかろうじて繋ぎとめているのは)
(「キスと挿入はしない」という)
(姉との約束・・・)
彼女は弟の頼みを聞いてパイズリをしながら亀頭を舐めていた。
姉の唇からチロチロと覗いて見える赤い舌に興奮を抑え切れない弟。
(キス・・・したい・・なあ)
姉が自分の精液を飲み干しているのを見た彼は、彼女をベッドに押し倒して全裸にし、濡れた股間をまさぐり、勃起した肉棒を姉の性器に擦りつけながら射精した。
姉と約束したギリギリラインで「欲望」を発散する弟。
しかし、ドアの向こうに母親が来た事によって、状況が変わります。
声を出す事が出来なくなった姉を彼は犯してしまうのです。
弟によって処女を奪われた姉が声を殺して泣いている。
(ごめん ごめんね 姉ちゃん)
(俺の方の留め金は ぶっ壊れちゃったみたいだ)
彼は強引に姉と口づけを交わしながら、禁断の膣内に射精した。
(――――いや)
(俺のは)
(あの夏の日から、もう――――)
姉と約束した「一線」を越えてしまった弟。
(姉は一人暮らしを始める)
家を出て行く姉が母と笑顔で話している。
(結局、壊れていたのは俺だけで)
(あのヒトは、また笑顔で手を振っている)
かつてと同じような笑みを残して姉が去っていく。
(・・・ああ)
(蝉の声がやけに煩い)
弟に背を向けた姉は涙を流していますが、弟だって泣きたいですよね。
これから彼は愛する姉を傷つけたという自責の念に駆られ続けるのでしょう。
ただ、この場合、最も問題があるのは姉の方だと思います。
「一線」を「ペッティング」にするというのは、男にとって非常に酷な条件ですよね。
これが普通の恋愛なら二人の関係が深まる事によってセックスをするようになる事が期待できますが、姉と弟では「禁忌性」が変化しないので永遠に寸止め状態なわけです。
いずれ弟が暴走してしまう事は容易に予想できたでしょう。
彼女にとって「キス」は「セックス」と同程度に重要なものであり、「姉弟」でしてはいけないと考えています。
しかし、その「一線」を先に越えていたのは姉の方なのです。
もう弟と会えないと思った彼女は、最初で最後のつもりで「理性の留め金」を外してしまったんですね。
でも、再び愛する弟と一緒に暮らす事になって、彼女の心は揺れてしまいます。
その結論がペッティングまでという制約付きの「秘密の関係」だったのです。
それは常識的に考えれば明らかに間違った考え方ですが、姉は禁じられた「欲望」を完全に抑制する事が出来ませんでした。
結局、弟と「禁断の関係」になってしまった彼女は家を出て、その関係を終わらせます。
姉がどんな気持ちで自分から離れていくのか、弟には分かりません。
相手の気持ちを全て把握する事など出来ないのです。
例え、それが「家族」であっても。

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